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ジェラルド・バトラーとグリーンランド [映画]

長引くコロナ、英国取材は去年、今年と2年連続で断念しました。

映画の紹介記事を某誌にかいているおかげで、試写も見られるのですが、
これも、オンライン試写が増え、PCを通して小さな画面になりました。

久々に大きなスクリーンで見た試写が、ディザスター映画
「グリーンランド」です(6月公開予定)。
主演はスコットランド人俳優ジェラルド・バトラー。
ある日突然、彗星群が地球を直撃。
人々が逃げ惑う中、シェルターへ入ることのできる
市民として選ばれたジョン・ギャリティ(ジェラルド)一家。
ところが息子ネイサンの持病のせいで、移動の飛行機に乗る直前
搭乗を止められ、人々がごった返す軍の施設近くで、
妻子とはぐれてしまう。家族は再び出会い、シェルターがあると
される地、グリーンランドへたどりつけるのか?
という話です。

この作品の特筆すべき点は、主人公がヒーローでも
なんでもなく、ひたすら家族と生き延びたいと願う
一般市民だというところ。
「自分が選ばれた家族」であるとの連絡が入り、車で指定場所に
向かおうとすると、それを知った近所の人たちが駆け寄り、
「娘だけでも連れて行ってくれ」と懇願しますが、
連れて行っても家族でないのがわかってしまい、
結局家族ちりぢりになると考え、これを拒否します。
その後、息子の件で逆の事態にも遭遇します。

主人公なのに、そんな手をつかってまでも?
と思うシーンも何度か出てきますが、本当にこんな
事態になったら家族第一、自分が助かりたい、と
いうのは事実だと思うので、観ていて複雑な心境になります。
主人公だけでなく、他の一般市民もこういう状況に陥ると
心がゆがみ、なりふり構わない…というのを感じます。
それと、小ネタになりますが、主人公が他の人たちと
移動中のトラックの中で、「お前はどこから来た?」と
言われ「アトランタから」と答えたものの、質問した
男はどうも彼を移民と考え(おそらくはスコットランド訛り)、
彼が「選ばれた」ことを不満に思ったのではないか?
と推測されるようなシーンがあり、はっとしました。
要するに自分を中心として、出身地や出生地、人種、階級、
思想、宗教などで「自分の方が」と思う心です。

実はこういうことって、自然災害だけでなく、
戦争や疫病の蔓延などでも起こりうることで、自分の身を守るために
どんな行動を起こしてしまうか、考えさせられる作品でした。
事実、コロナで酸素ボンベが不足し、病院でも略奪が起こる
事態には、ニュースを見て苦しくなりました。
コロナの蔓延により、余計に自分と違う人に対する寛容さが
世界各地でより薄れてきているようで、そういう意味での恐怖も
感じずにはいられません。

すこしでもこういう状況が減り、不安の少ない世界になってほしいです。

映画サイト
https://greenland-movie.jp/
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ジェントルメン

GW,都市によってはイベントの中止、映画館のクローズが
続いています。

大作は、公開のペンディング状態のものが少なくありません。

そんな中、公開される予定の英国映画があります。
もし、GW中にコロナにまつわるさらなる問題が
起きなければ英国映画「ジェントルメン」が
公開されるはずです。

この作品は、ロンドンのマリファナ王が引退するという
噂が広まり、利権をその後だれが手にするのか?で
さまざまなジェントルメン(というタイトルですが、ワルども)が
騙し、裏切り、出し抜き、最後に笑うのは誰?
というスリリングな話です。

映画の冒頭は、レトロスタイルのパブですし、
パブリックスクールや名門大学を足掛かりに、
裏では金繰りに悩む貴族をもひそかに
巻き込んでトップに上り詰めたミッキー(マシュー・マコノヒー)。
彼を巡るジェントルメンたちが、
チャーリー・ハナム、ヒュー・グラント、コリン・ファレルら
豪華俳優陣。監督はガイ・リッチー。

よくも悪くも英国らしい小ネタが所々に差し込まれているので、
英国映画ファンは絶対に楽しめるはずです。

私も冒頭から「ああ、パブでピクルド・エッグを食べながら
エールを飲みたい」などと思ってしまいました。

ジェントルメンは、5月7日公開予定。
公式サイト
https://www.gentlemen-movie.jp/

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漫画家・山下和美さんの個展とプロジェクト

先日、漫画家・山下和美さんの原画展に行ってきました。
私は「天才柳沢教授の生活」のファンなのです。
ヴァニラ画廊というギャラリーで4月18日まで開催されていますが、
予約制なので、ご興味ある方は画廊のサイトのチェックをお勧めします。

手書き原稿の細かく美しい絵はやはり素敵でした。
そして驚いたのはデビュー前の作品、某ロックバンドを
描いたお話の数ページが展示されているのですが、
私の世代には懐かしかったです。

IMG_8618.jpg

さて、山下さんの最近の活動には
「旧尾崎邸保存プロジェクト」というものがあり、
これはURLをご覧になるとわかりますが、
世田谷の、築100年といわれる美しい洋館を保存しようというものです。

私は毎年、招き猫で有名な豪徳寺にお参りにいくのですが、
そのすぐ近くにこの洋館があり、昨年取り壊しの看板が
出た時にはショックでした。その後、まず保存の署名活動があり、
これに参加したあと、動向が微妙な動きののち、保存が決定。
さらに今月から保存のための寄付活動が始まりました。

プロジェクトの寄付にはリターン付きがあり、
私は準備が整った暁には「洋館でティータイム」を
夢見て寄付をしました。

英国ではナショナルトラストやイングリッシュ・ヘリテージなどといった、
歴史的に貴重な風景、エリア、建物などを保存する団体の活動が
活発で、その恩恵で中世やヴィクトリア時代の素晴らしい
建物を楽しむことができます。
でも日本ではそれが個人のものだったりすると、相続税が
払えず売却、ほとんどが建物は壊され、更地になります。

昨年は森鴎外の東京の家屋敷を保存しつつ、同じ敷地にあった
ホテルが廃業。鴎外邸は、移築したいとの新聞記事を読みましたが、
それもどうなるか不明です。
そんな寂しいことが、少しでも減り、古きよきものを残したい。
この洋館は家からも気軽に行ける場所でもあるので、
この活動に賛同しようと思いました。
よかったらこの洋館のことを知ってください。

旧尾崎邸保存プロジェクト
https://motion-gallery.net/projects/Ozakitei

山下さんによる実話マンガもこちらに。
http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/youkan.html

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パブねこにまつわるお話

コロナの勢いがなかなか衰えず、厳しい日が続きますね。
私も昨日は朝から猛烈な悪寒と体の痛みに目が覚めると、
38.4℃という、数年来見たことのない体温計の数字に驚きました。
ただ、コロナとは様子が違うようで、とにかくベッドで1日じっと
おとなしくして、なんとか今朝は持ち直しました。
嗅覚、味覚に問題はありません。解熱剤を使わず、微熱程度です。

ベッドの中で、スマホを見ていたら、1通のメールが届きました。
それは以前、『パブねこ』という本の取材の際、私が同行できず、
カメラマンのトム・コールトンさん単独で撮影に行っててもらった
プリマスにあるパブの経営者の家族からでした。

取材ではブルースと飼い主のマイクさんのツーショット写真を撮りました。
ブルースは、かつて飼い猫だったのに引っ越しで置いて行かれ、住んでいた
村を徘徊、パブ近くで交通事故に遭い愛猫団体に収容されます。
マイクさんが率先して募金活動をして集めたお金で手術を受け、
引き取り手を探していたところに、再びマイクさんが手を差し伸べて、
パブの看板猫となったのです。

私は結局、その後パブを訪ねることが出来なかったままですが、
今回届いたメールには、数年前にパブをやめたこと、ブルースを
2019年に亡くしたことが書かれていました。ブルースの死に、マイクさんは
ひどく落ち込んだとのことでした。今は新しい猫を、ブルースが
いたのと同じ保護団体から受け入れたようです。

今回のメールは、そういった近況報告のあとに、一つの依頼がありました。
マイクさんが愛したブルースの写真が『パブねこ」に載ったのを
大変喜び、その写真が大好きだから、父の日に改めてプレゼントしたい、
そのために画像を送ってもらえないかという話でした。
本に掲載された写真を見ているとすてきな思い出がよみがえるとのこと。
愛猫の死のつらさはとてもわかるし、家族のマイクさんへの思いやりに
メールを読みながらうるっと来てしまいました。
つくづくこの本を作って良かったと思えました。

そして早速画像を送りました。
本に掲載されたものと、されなかったものを(下記画像は本に掲載されたもの)。
s-_MG_7619.jpg


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どん底作家の人生に幸あれ! 英国の文豪ディケンズ、半自伝小説の映画化

明けましておめでとうございます。

またまたご無沙汰してしまいました。

コロナが一向に収まらない中、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
私は実家には2020年のお正月以来一度も行けないままです。

東京在住ですので、楽しみはほぼ都内でと思っていて、
換気、除菌がきちんとしている映画館と劇場にはポツポツ出かけています。
そんな中、年明けに見ていただきたいのが
ディケンズの自伝的作品と言われる『デヴィッド・コパフィールド』を
下敷きにした映画『どん底作家の人生に幸あれ!』です。
1月22日公開(原題は
The Personal History of David Copperfield)。


裕福な家に生まれながら、母の再婚により、奉公に出され、
叔母の助けでパブリック・スクールに通い、その後も波瀾万丈の
生活を周囲の変わり者たちと送る主人公の泣き笑いを描いています。

キャストも主演に「スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテル、
彼に関わる奇人、変人役に
ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショー、ヒュー・ローリー他
実力派が勢ぞろい。

彼らが織りなすディケンズの世界、ヴィクトリア時代の、
さまざまな階層の人たちの暮らしを見ているだけでも興味深いのですが、
制服好きの私にはさらに気になったのが
主人公デイヴィッドが叔母の支援で進学した学校の制服。
テイルコートに襟付きウエストコートとズボン(ともにアイボリー)、
立て襟にタイ。
話の大筋とはあまり関係ないですが、生徒によって襟やタイの色が違ってたり
するのが何かのルール上のものなのか気になりましたが、謎は謎のまま。
でも、この時代の学生寮生活が垣間見られて面白いです。
暖炉のある共同部屋での生活など。
そのあたりに興味がある人は、映画の中盤を、よりじっくりご覧ください。
★どん底作家の人生に幸あれ!_メイン.jpg
(c)2019Dickensian Pictures,LLC and Channel Four Television Corporation

公式サイト https://gaga.ne.jp/donzokosakka/
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